音響メーカー名門のオンキヨーホームエンターテイメント(オンキヨー)が8月1日、上場廃止になることが決定した。1946年創業で70年を超える老舗企業だったが、デジタル化の波に対応できず業績が悪化。債務超過の解消に向け期末ぎりぎりまで交渉を続けたが実を結ばず、3月31日午後6時30分に「上場廃止基準に抵触」を発表した。直近の赤字は新型コロナで生産活動が限定されたことが一因だが、オンキヨー関係者は「巣ごもり需要がもう1年早ければ」と嘆いた。最後はコロナに翻弄されたオンキヨーの上場廃止の裏側に、東京商工リサーチ情報本部と関西支社情報部が迫った。(東京商工リサーチ情報部 後藤賢治)
度重なる経営危機に苦しんだ
オンキヨーの歴史
オンキヨーは1946年、大阪電気音響社の商号で設立された。スピーカー開発を進め、1948年には第1号機を完成させた。1957年に東芝グループの傘下に入り、真空管テレビなどの生産も開始した。高度経済成長期から安定期に入った1980年頃、ミニコンポ、スピーカー、AVアンプなど得意の音響機器が、ファンには憧れのブランドに成長していた。
だが、それから10年後に押し寄せたバブル崩壊で、一気に経営危機に直面した。オーディオ市場は縮小や競争激化で厳しさを増し、1993年には東芝との資本提携も解消した。それでも銀行支援を受け、リストラなど経営再建を進め、2004年には念願のジャスダック市場への株式上場を果たした。