オーディオ国産オーディオ御三家の明暗を分けたものとは?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

“本業転換”で明暗を分けた
「国産オーディオ御三家」

 高校時代、少しだけオーディオに興味があった時期がある。

 その頃は、自宅にあったパイオニアのシステムコンポ(アンプやチューナー、レコードプレーヤー、スピーカーがセットになったもの)でレコードを聴くぐらいだった。

 だが、しばらくするうちに、それぞれの機器がどういう仕組みになっているのだろう、などと好奇心を抱き、オーディオ雑誌を読みあさるようになった。

 大学に入学し一人暮らしを始めると、大学生協で売られていたパイオニアのミニコンポが、どうしても欲しくなった。とても一括では支払えなかったので、生まれて初めて学生ローンを組んだのを覚えている。

 その時、数ある製品の中からパイオニアのコンポを選んだのは、自宅で最初に使ったメーカーのブランドに、特別な憧れのようなものがあったからだと思う。

 その憧れのパイオニアは、今は見る影もないくらい、衰退してしまった。同社のオーディオ事業は2015年にオンキョーに譲渡され、会社自体、経営難のため今年初めに香港のファンドに身売りされ、上場廃止となった。