サウジアラビアの皇太子は5年前、2020年までに石油に大きく依存する経済構造から脱却すると表明した。だが、成長維持と雇用創出を迫られる中、世界最大の石油輸出国は、目指していたグリーンエネルギー源からは距離を置き、再び炭化水素へと大きくかじを切る姿勢を鮮明にしている。サウジが長期のエネ構想から逆戻りしていることで、アラブ首長国連邦(UAE)など、石油輸出国機構(OPEC)加盟国との対立も先鋭化している。UAEはサウジの想定以上に速いペースで石油需要が減退すると危惧しており、今のうちにできる限り石油販売による収入を確保し、観光やテクノロジーといった新たな産業の成長を支える原資としたい考えだ。一方で、サウジは急ぐことなく、将来もできるだけ長く原油販売収入を頼りにしたいともくろんでいる。こうした中、先週、増産の是非を巡るOPECの協議が決裂した。