伊藤詩織さんのネット誹謗中傷訴訟で考える、「確信犯」との終わりなき闘いPhoto:Takashi Aoyama/gettyimages

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元・東京大学大学院特任准教授の大澤昇平氏を訴えた民事訴訟で、東京地裁は大澤氏による名誉毀損を認め、損害賠償の支払いを命じた。しかし大澤氏はその後も「勝訴しました」「7:3で俺が大勝」などとツイートし、見る人をあぜんとさせている。(フリーライター 小川たまか)

ネット上の誹謗中傷
原告側の勝訴が相次ぐ

 ネット上の誹謗(ひぼう)中傷などに関連する民事訴訟の判決が相次いでいる。

 7月6日、ジャーナリストの伊藤詩織さんが元・東京大学大学院特任准教授の大澤昇平氏に対して慰謝料など110万円の損害賠償を求めていた訴訟で、虚偽の内容で伊藤さんの名誉を傷つけたとして大澤氏に33万円の支払いと該当ツイートの削除が命じられた。

 6月には元SEALDsメンバーの福田和香子さんら2名が原告となった名誉毀損裁判でも、被告の女性がツイッター上に投稿した複数の内容が中傷に当たると認定され、計99万円の支払いが命じられている。

 同じく6月には、作家の川上未映子さんがネット上の掲示板や個人ブログに書き込まれた内容について損害賠償を求めた訴訟で、被告女性に320万円の支払いが命じられた。川上さんはこれらの書き込みのために2018年11月に行われた公開イベントへの出演を取りやめるなどしていた。

 3件とも原告が勝訴と言える判決ではあるが、この結果を見てもなお、ネット上で誹謗中傷にさらされた側がそれを訴える負担は非常に大きいと言わざるを得ない。また、勝訴したからそれで終わりといえるものでもない現実がある。