国際的な炭素税は、多くの経済学者の間で産業界の脱炭素化に向けた最も効果的なアプローチと受け止められているが、その創設は政治的に不可能だとずっと考えられてきた。欧州連合(EU)が新たに打ち出した国境炭素税は、まさにそれが変わるきっかけとなるかもしれない。欧州委員会は14日、EUと同じ方法で二酸化炭素(CO2)排出に課税していない国からの特定の輸入品に新たな税を課すことを提案した。この措置は「国境炭素調整措置(CBAM)」と呼ばれ、新たな気候目標の達成に向けてEUの規則を調整する包括案に盛り込まれた。その狙いは、域内外の生産者の競争条件を公平なものにし、域内企業がEUの厳しい規則から逃れようと域外に移転するリスクを減らすことにある。CBAMは、世界最大級の市場であるEUへの一部輸入品に炭素コストを負担させる制度を設けることで、国際炭素価格に道を開く可能性がある。この提案には合意が必要で、数年がかりで段階的に導入される見通しだ。