スポーツカーとしてグローバルで人気の高い、トヨタ「GR 86」とスバル「BRZ」――。米国では既に「BRZ」の先行試乗会が実施されていたが、やっと日本でも試乗のチャンスが巡ってきた。激しい雨の中で感じた2モデルの差とは?(ジャーナリスト 桃田健史)
なるほど、こんなに違うのか!?
60分間で5台を乗り比べ
雨足が強まり、コースコンディションが悪化すればするほど、2モデルの特性の違いをカラダ全体で感じることができた。
9年ぶりにフルモデルチェンジした、トヨタ「GR 86」・スバル「BRZ」のプロトタイプ報道陣向け試乗会に参加した。
開催地は千葉県房総半島の内房にある袖ケ浦フォレストレースウェイ。全長は2436mと、鈴鹿サーキットや富士スピードウェイに比べ半分程度と短いが、コース全体に起伏があり、前方が見えにくいブラインドコーナーや、変速的な低速90度コーナーなど14コーナーを駆使した多彩なレイアウトで、自動車メーカーが新型車の量産に向けた最終的なテスト走行に使用することも珍しくない場所だ。
筆者が参加した日は、朝からどんよりした曇り空。午前7時の天気予報では、房総半島上空は大気の状態が不安定で一時的に雨が強まる恐れがあるといわれていた。
商品コンセプトや技術詳細などのプレゼンテーションは、新型コロナウイルス感染症拡大に対する予防のため試乗会現地では行わず、事前にメールで送付された動画を確認した。
スバル広報部から簡単なブリーフィングを受けてから、実車に乗り込んだ。
ひとりの持ち時間は60分間で、5台を乗り分ける。1台あたり3周とタイヤやエンジンなどをクールダウンさせるための1周を加えた4周を走る。
たった4周、距離にして10km程度、時間にして10分程度でクルマの差が本当に分かるのかと思われる方も少なくないはずだ。
改めて筆者のバックグラウンドを紹介すると、過去40年間にわたり量産車の企画、開発や実験、また各種レーシングマシンの開発やレース参加をしており、これまでサーキット走行やメーカーのテストコースにおいて“クルマの違い”について解析する機会がとても多い。
では、2代目に進化したGR 86とBRZ、走りの違いをどう感じたのか?