米の銃犯罪対策、コミュニティーでの介入が有望Photo:Spencer Platt/gettyimages

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJエグゼクティブ・ワシントン・エディター

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 首都ワシントンにある米メジャーリーグ・チーム「ワシントン・ナショナルズ」の本拠地球場「ナショナルズ・パーク」で17日夜、ホームチームの投手陣が残念なイニングを終えた直後、観客のざわめきを引き裂くように銃声が響いた。それは銃声に間違いなかったが、発生源は不明だった。ワシントンで相次ぐ無差別銃撃事件の一つにすぎないのか。それとも2017年にラスベガスのマンダレイ・ベイ・ホテル近くで起きた事件のような、群衆の大量殺人を狙った銃撃なのか。

 球場内の3万3000人の観客は発生源が分かるまで待たなかった。一斉に出口を目指し、球場外へ逃げ、隠れる場所があれば隠れた。われわれの何人かは住居ビルに逃げ込んだ。知らない人がビルのドアを開けてくれていたのだ。こうした状況にしては非常に秩序だった脱出劇だった。最も痛ましかったのは、泣いている子どもを親が抱き寄せている姿があちこちに見られたことだ。

 今回の銃撃は球場のゲートのすぐ外側を車で通り過ぎながらの犯行だったことが、後で分かった。少なくとも3人が負傷した。事件は大規模な混乱を引き起こしたが、前日の16日に約5キロ離れた場所で起きた銃撃事件ほど悲惨な結果にはならなかった。その事件では、小学校に入る前の6歳の少女が、今回と似たような銃撃によって命を落とした。