【ワシントン】新型コロナウイルス感染症のパンデミックのなか、昨年10月からスタートした米連邦最高裁判所の開廷期は、保守系判事優勢の状況がさらに強まったが、一部では9人の判事の間でコンセンサス形成の動きが見られた。
しかし、今週で終わった今開廷期中には、新たに保守派の優勢が拡大した判事構成が、いくつかの主要な判断を左右する影響力を示した。少数派有権者に対する差別の存在の訴えよりも国家主権が優先されるとの判断、政府監査人の立場よりも非営利の寄付者の匿名性が優先されるとの判断、集団訴訟の原告の立場よりも企業の被告の立場が優先されるとの判断などが、その例だ。
ただし、法律解釈を変更する度合いやスピードに関しては、保守派判事らの意見が割れた。その際にはジョン・ロバーツ最高裁長官の意見に、他の判事と比べて新顔のブレット・カバノー判事、エイミー・コニー・バレット判事の2人が追随し、クラレンス・トーマス判事、サミュエル・アリト判事、ニール・ゴーサッチ判事らの動きにしばしば歯止めを掛けた。
イリノイ大学ローカレッジのビクラム・アマール学部長は「最高裁は依然としてロバーツ長官の影響下にある」と指摘。ロバーツ長官を中心とする三頭政治がしばしば「どれだけ多くの判例を作り、どの方向に進むのか」を決めているように見えると語った。