菅政権はどの程度「安心」か?
支持率は危険水域へ

 一方、菅政権にとっても、状況は「安心」ではないように思われる。

 7月4日に投票が行われた東京都議会選挙は、最低勝敗ラインと目された「自民・公明両党で過半数」を獲得することができない惨敗だった。都議選は、国政選挙に対する先行指標だと言われている。

 また各種の世論調査でも、NHKの7月の調査で内閣支持率が33%と、これまでの最低に支持率が落ち込んだ(不支持率46%は最高)。また、19日に発表されたANNの調査に至っては支持率29.6%と、30%を割り込んだ。

 国民の多くが、菅内閣について「コロナ対策がうまくいっていない」と評価しており、不満が溜まっている。

 政権の危機状況を表す経験則として有名な「青木率」(自由民主党の青木幹雄元官房長官の考案とされる)は、内閣支持率と自民党への支持率を合計したもので、これが「50%を割ると政権が保たない」とされる指標だ。現在は50%以上をかろうじて維持しているものの、何か一つ悪材料があれば、50%を割りかねない状況だ。

 そして少なからぬ国民が、トーマス・バッハ会長以下の国際オリンピック委員会(IOC)の面々について「横暴で感じが悪い」と思っているので、オリンピック開催に伴って菅義偉首相の露出が増えることがプラスに働くとも思えない。

 一つの希望は、コンディションの調整に有利な日本人アスリートが競技で活躍し、いわゆる「メダルラッシュ」がもたらされて世間のムードが明るくなることだ。しかし他方で、コロナの感染は明らかに拡大傾向にあるので、両者のバランスがどうなるかが問題だ。

 もともと「開催反対」の意見が多かったことを考えると、大会の運営に一つでもミスがあると強い批判を浴びることになるだろうから、東京オリンピックは菅政権にとっても「安心」なものではない。