ワクチン接種で自治体にプレッシャー、酒提供に対する過剰な圧力
「ワクチン不足」が問題になっている。7月後半のワクチン供給は、自治体が希望する量の3分の1程度にとどまる見通しだという。
政府与党側はさまざまな釈明をしているが、つきつめていけばワクチン接種事業を、身の丈を超えて「過剰」に進めてしまったことが原因だ。
「1日100万回」「7月末までに高齢者接種完了」「10〜11月には希望者全員接種完了」という3つの目標を掲げた政府は、自治体が最も恐れる総務省から「早く接種を」とプレッシャーをかけさせたり、「打ち手」確保のために報酬を上げたりして、自治体のワクチン接種の尻を叩いた。さらに、それだけでは目標達成が不安だったのか、企業の職域接種までスタートさせた。
その甲斐あって、7月9日には会見で菅首相が、「先進国の中でも最も速いスピード」などと胸を張れるようになったワケだが、実力以上に背伸びをした結果、供給が追いつかなくなった。要は、見栄を張るために「やりすぎ」てしまったのだ。
この「やりすぎ」というのは、もうひとつ大きな問題になっている「酒提供をめぐる圧力」にも当てはまる。酒類の提供停止に協力をしない飲食店を、政府としてどうにか従わせたいという気持ちはわからんでもないが、それを法的根拠ゼロで、金融機関や酒卸業者にやらせるというのは明らかに度を越している。表現はマイルドだが、「暴力団排除」の手法とほぼ同じだからだ。
このように「やりすぎ」が招いた失敗が相次いでいるのを見ると、菅政権の先行きにかなり不安を感じてしまう。これは日本のさまざまな組織を壊滅させ、産業を衰退させてきた「負けパターン」だからだ。
身近なところで言えば、現在苦境に立たされているコンビニがわかりやすい。