226.1万円で
トスネットが1位

 今回、平均年収の低さで1位となったのは、本社が宮城県仙台市の警備事業会社トスネット(サービス)で226.1万円だった。前年度比で13.1%減少し、300万円を割り込む水準となった。交通誘導や施設、列車見張り警備事業を手掛けている。従業員数は156人で、平均年齢は43.3歳となっている。

 上位10社のうち、サービス業の企業は同社だけだ。

 小売業は5社入った。3位の井筒屋が294.4万円(同684人、同48.6歳)、5位のバロックジャパンリミテッドが299.0万円(同1428人、同29.3歳)、8位の東天紅が304.9万円(同274人、同38.0歳)、9位のショクブンが307.2万円(同452人、同47.0歳)、10位のかんなん丸が314.4万円(同187人、48.1歳)となっている。

 井筒屋は福岡県北九州市の老舗百貨店で、バロックジャパンリミテッドは東京都目黒区に本社を置くアパレル企業だ。

 残る3社はいずれも食品に関連した会社だ。東天紅は、東京都台東区に本社がある中華料理レストラン「東天紅」をチェーン展開する会社で、ショクブンは愛知県名古屋市の食材宅配大手、かんなん丸は埼玉県さいたま市浦和区に本社を置く外食産業の会社だ。

 一般的に、サービス業や小売業は労働集約的な産業で、日本は欧米の同業と比べて生産性が低い。中小企業の比率が高く、年収が金融やメーカーとの比較で見劣りするため、人材確保に苦労している企業が多い。

 サービス、小売業以外の業種では、水産・農林のアクシーズが285.6万円(同959人、同36.0歳)で2位、情報・通信のアイフリークモバイルが295.6万円(同370人、28.5歳)で4位、ガラス・土石製品の倉元製作所が304.3万円(同104人、同46.7歳)で7位と、それぞれ1社ずつ入っている。アクシーズは、鹿児島県鹿児島市に本社がある鶏肉国内大手である。アイフリークモバイルは、写真加工や絵本アプリなどの携帯電話向けモバイルコンテンツサービスなどを扱っている。

 倉元製作所は、液晶用のガラス基板加工を手掛けている。事業の低迷で2014年12月期から赤字が続き、18年12月期に債務超過に陥った。19年12月には私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)の利用を申請し受理された。経営再建中の20年4月にトップが代わり、中国出身の時慧氏が社長に就いた。

 なお、平均年収が300万円を切ったのは5社だった。300万円以上400万円未満は126社に上っている。

 最後に、平均年収400万円未満の131社の業種を確認しておこう。最も多かったのは小売業で46社。サービス業が40社で続いた。卸売業は8社、情報・通信が5社、その他製品が5社、化学と繊維製品がそれぞれ4社となっている。

(ダイヤモンド編集部 加藤桃子)