米国の人口はこの10年、出生率の低下ですでに伸び悩んでいたが、新型コロナウイルスの流行で伸び率はほぼゼロ近くにまで落ち込んでいる。昨年は全米の州の半数で死亡者数が出生数を上回り、2019年の5州から増加している。これまでの推計によると、2020年7月1日までの1年間の米人口全体の伸び率は0.35%で、記録が残されている中で最低となった。今年の伸び率もほぼ横ばいになる見通しだ。人口統計学者の間では、米人口が史上初めて減少する可能性は万に一つとみる向きもある。人口増加は、労働市場の規模や、国の財政・経済力に重要な影響を及ぼす。不運な1年が、将来の米人口動態の健全性に必ずしも問題をもたらすとは限らない。人口統計学者の念頭にあるのは、過去に不景気で出生数が減少した際、減少は一時的なことが多く、景気が回復すると出生数は持ち直したことだ。