中国はデジタル人民元の開発に向け、キャッシュレス化の草分け的存在であるアント・グループとテンセントホールディングスに支援を求めている。中国人民銀行(中央銀行)はここにきて、デジタル元の実証実験を加速している。だが、これまで時間をかけて決済サービス網を築き上げてきたアントとテンセントにとって、中央銀行デジタル通貨(CBDC)は自社サービスの脅威となりかねなず、両社は難しい状況に置かれている。巨大なユーザー層を失いかねないリスクを冒しながらも、当局に協力せざるを得ないためだ。中国では14億人に上る国民の大半が、モバイル決済で少なくともいずれかのサービスを利用している。人民銀は先週公表したデジタル人民元に関する初の白書で、主に国内の小売り決済向けに開発されていると明らかにした。その上で、中国は「利便性がより高く安全で、インクルーシブ(包摂的)かつプライバシー保護が行き届いている」決済サービスに加え、プラットフォーム全般で相互利用可能な決済インフラが必要だと指摘した。