しかし銀行は特別で、他の得意先や取引先とは違うのだとしたら、不思議なことです。実際のところ、銀行のハードルは高くありません。銀行も他の企業と同様に「仕事でつきあう取引先」のひとつです。そして、「とても大事な取引先」です。

 銀行からすると、取引先企業は“得意先”になります。そうです。銀行にとって、あなたの会社は“お客様”なのです。両者の立場は、ビジネスをする上で対等です。銀行に対してハードルが高いと感じる必要はないことを、ご理解いただけたでしょうか。

銀行は社長を見て貸している

 銀行にとって大事なことは、「誰に貸しているか」「誰と取引をしているか」。ビジネス上のお金のやりとりは「銀行と会社」であって、表面上は組織と組織ですが、実際はそうではありません。

 お得意様や取引先とつきあうとき、単にその会社だけを見て判断しているでしょうか? そんなことはないはずです。その会社の社風やそこで働いている社員を見て、総合的に判断してつきあっていると思います。

 銀行も同じです。会社の規模や財務情報だけで判断し、融資を実行し、取引しているわけではありません。「会社の代表者である社長」を見ているのです。

 銀行にとって、社長がどういう人物であるかはとても重要です。誤解を恐れずにいうと、会社がどうというよりも、社長がどういう人物であるかの方が大切です。社長の能力や人徳により、会社はどうにでもなるからです。

 だとすると、「社長が銀行に行かない」というのは、ありえないことなのです。社長は銀行に行くべきですし、“社長こそ”銀行に行かなければなりません。