人の手柄を当たり前のように横取りする人物や、自分のミスの責任を人に平気でなすりつける人というのは、どこの職場にもいるものである。「あんな露骨なことがなぜできるのか、その神経が分からない」。そんな声をよく耳にする。そこには、過剰な自己愛によるゆがんだ認知システムが関係している。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)
人のアイデアを平気で自分のものにする同僚
「人のアイデアをすぐに盗む図々しい同僚がいて困る」「盗むこと自体も非常に腹立たしいが、バレバレなのに悪びれた様子がないから本当にあきれる」。そんな声を多くの職場で耳にする。
ある人は、同僚から声を掛けられて「今、こういうテーマで企画を練ってるんだ。とりあえずこんな企画を立ててみたんだけど、どうもパッとしないんだよな。どう思う? 率直な意見を聞かせてもらえないかな?」と意見を求められた。たしかに惹きつけるものがないように思ったので、率直に思うところを伝えた。
すると「やっぱりそうだよな。何かいいアイデアないかな。一緒に企画を練ってみないか?」と言うので、一緒に考えてみることにした。そこで、数日かけて自分なりのアイデアをもとに簡単な企画書をまとめて渡した。当然、それを踏まえて共同企画を練り、提案するものと思っていた。だが、違った。