重箱の隅をつついている間に
日本自身が世界から仕分けされる

 そうした観点から考えると、現政権は大きなリスクを抱えていると考えざるを得ません。個別の政策の誤りもさることながら、トータルとしての政策の全体像を作成/提示できるようには、見受けられないからです。経済財政諮問会議なき今、国家戦略室がその任を担うべきなのですが、まだ機能しているようには見えないことが、その原因です。

 春に策定される成長戦略と中長期の財政見通しの重要性は、極めて高いと言わざるを得ません。しかし、霞ヶ関から聞こえてくる噂では、成長戦略では年末に示された実質2%/名目3%成長という目標は維持されますが、その実現に向けた具体策としては、環境関連分野における部分的な規制改革など、あまり説得力のないものが中核となりそうです。また、中長期の財政見通しも、主には早期の消費税増税の必要性を論証する内容となりそうです。

 しかし、そもそも経済学的に十分説得的でない政策を羅列して、名目3%成長を主張しても、世界がそれを信用するはずもありません。また、将来的に消費税増税は不可欠ですが、何よりもそれを最優先する財政再建シナリオを示しては、これも世界の信頼を失うだけです。

 件(くだん)の知人は、「民主党は政権を取って半年経つのに、なぜ政策を間違え続けるのか?」と言っていました。それが世界の本音です。春の成長戦略と中長期財政見通しは、民主党政権が世界の信用を勝ち得る最後のチャンスになるかもしれません。もしそこで説得的なトータルとしての政策パッケージを提示できなかったら、民主党の負けではないでしょうか。

 低下を続ける支持率の底上げに向けて、4月下旬から事業仕分け第2弾が始まるようです。しかし、、国内の支持率ばかりを気にして、国内向けのショーアップにばかり傾注していたら、重箱の隅(すみ)をつついて無駄を仕分けしている間に、日本自身が世界の中で仕分けされてしまいかねないのではないでしょうか。

政権にもまだチャンスはある
政策全体の説得性を高めよ

 もちろん、民主党政権にはまだチャンスがあると思います。公務員制度改革について仙谷大臣が「官僚の早期勧奨退職は必要」と発言し、高速道路の上限料金制の修正を目指すなど、政権はこれまでの“マニフェスト原理主義”から脱しつつあるからです。

 だとしたら、今の民主党政権に必要なのは、まず個別の政策に現実を踏まえた修正を加えることと、次に政策全体のパッケージとしての説得性を高めることです。容易なことではありませんが、まだ十分に間に合うはずです。

 だからこそ、政権が夏の参院選ばかりを意識した票集めのための政策ではなく、世界を意識したトータルとして正しい政策体系を立案するよう、国民やメディアの側も厳しく批判して注文をつけていくべきではないでしょうか。