このおよそ一週間の間に、昨年末の衆院選により遅れていた今年度補正予算案と来年度予算案の双方が閣議決定されました。その内容を見ると、どちらも非常に中途半端という印象が強いのですが、それ以上に、それをちゃんと批判しないマスメディアこそ大丈夫かと言わざるを得ません。

財政再建の観点から見た予算
震災から3年、100兆円規模の異常

 予算を評価する場合、軸足を財政再建と景気刺激のどちらに置くかで評価はだいぶ違ってきます。

 まず財政再建の観点から来年度予算を見ると、もちろん税収が前年度比9%増の54.5兆円と91年度以来の高水準が見込まれ、また財政再建の中間目標(プライマリーバランス赤字の対GDP比を2010年度比で半減)も達成できるといった前向きな要素はあるのですが、やはり“過去最大”と報道されている予算の規模がどうしても気になります。

 ここで、安倍首相が初めて首相になった2006年度以降の一般会計の予算規模を羅列してみると、以下のとおりです(2013年度までは決算ベース、2014年度は当初予算+補正予算なので、2015年度の予算案の金額が最高とはなりません)。

2006年度   81.4兆円
2007年度   81.8兆円
2008年度   84.7兆円
2009年度   101.0兆円
2010年度   95.3兆円
2011年度   100.7兆円
2012年度     97.1兆円
2013年度   100.2兆円
2014年度   99.0兆円
2015年度   96.3兆円

 即ち、2008年度までは政府の一般会計予算の規模は80兆円台前半だったのが、2009年度以降は100兆円前後へと約2割も増えたままとなっているのです。

 もちろん、2009年度はリーマンショックへの対応、2011年度は東日本大震災への対応という特殊要因があったので、それらの年度は予算額が膨張して当然です。しかし、東日本大震災から3年が経過した後も100兆円規模のままというのは、予算の水膨れが何も修正されていないのです。