今回は、BtoBメーカーのキーエンス、信越化学工業、日本電産の決算書を見ていこう。高い収益性が評価されている3社だが、決算書を見ると各社のビジネスモデルや経営戦略の違いが見えてきた。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)
キーエンスに収益構造が
類似しているある業種とは?
今回は、高収益率で知られるBtoBメーカーのキーエンス、信越化学工業、日本電産の決算書を比較したい。
キーエンスはファクトリーオートメーション(FA)向けセンサーや計測器を手掛けており、従業員一人あたりの年間平均給与が1800万円を超える高年収企業であることも有名だ。信越化学工業は、塩化ビニル樹脂(塩ビ)の生産能力で世界最大を誇る化学メーカーである。日本電産は自動車用や産業用などのさまざまなモーターを手掛けるメーカーで、数多くのM&Aを成功させて高い成長率を実現していることで知られている。
なぜこれらの会社は高い収益性を実現できているのか、各社のビジネスモデルに着目しながら解説していくことにしよう。