資格を抹消されたら、1500万円以上の報酬と支援金をすべて返済させられる

 デモの洗礼を経てきた民主派議員たちの多くは、忠誠宣誓が実施されれば、自分たちの議員資格が抹消される可能性があることに対しては心の準備をしていた。区議会への忠誠宣誓決定後すぐに辞めた議員もいるが、ここまで残っていた議員の多くは、その宣誓をあえて受けて立ち、それで自分の資格を抹消されることになれば、政府の不義がもう一つ増えるだけだと「人柱」になるつもりだった。

 だが、議員就任以来受け取った100万香港ドル(約1400万円)を軽く超える報酬と議員活動への支援金を全額返すことが義務付けられるとなれば、破産する可能性もある。その不安から、「忠誠宣誓実施前に辞めれば返済は必要ない」とする声にしたがって雪だるま式に辞職者が出たのだった。

 もちろん、不満も渦巻いた。「我々は国家安全法施行以前の香港で、当時定められた立候補のための宣誓や手続きを経て、正式にその資格を認められて参選し、市民の支持を得た正式な議員だ。就任後に定められた法律が、我々に足かせをはめるというのか?」という声や、「たとえ宣誓で罷免されたからといっても、これまで我々だって議員として仕事をしてきた。そのすべてをゼロとみなし、報酬や支援金を返済しろというのはおかしい」という声。実際、市民たちもこの理不尽さには不満を持っており、辞職する議員の数に驚きつつも、彼らを責める声は有権者からはほとんど上がっていない。