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スマートフォンの理想と現実

「NTTドコモからiPhoneは出るのか?」
素朴な疑問から浮かび上がる最大手キャリアの課題

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第37回】 2012年11月14日
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 すでに日本のケータイ市場は、総契約数が人口を超えている状況である。スマートフォン普及がいよいよマジョリティ層へと向かう中、今後は「2台持ち」需要も鈍化していく。人口も頭打ちから減少に入りつつある以上、近い将来に市場が飽和することは自明である。

 一方でスマートフォンの普及はおそらく今年度末でもまだ総契約数(≒総人口)の3割強程度であろう。すなわちスマートフォン普及に伴う課題や混乱は、いよいよこれからが本番ということだ。

 ケータイに対する期待(と依存)は高まるが、スマートフォンへの移行が進む中、これまでのインフラと端末のパラダイムの延長で、そうした期待に応え続けることができないことは、冒頭で触れたインフラの障害などからも、すでに一部は明らかになっている。

 いま本当に求められるのは、過当競争下で優位性を誇ることではなく、社会におけるケータイの役割や存在意義を改めて考え直し、新たなパラダイムを打ち立てることではないだろうか。

 もちろん、一事業者が担うには、限界のある話ではある。そしてこれは、事業者のみならず、規制当局はもちろん、最終的には国民全体で考えるべき課題でもある。他ならぬ私たち自身のケータイ依存を振り返ってみれば、これらが決して大げさな物言いでないことは、明らかである。

 しかしその中でも、全国規模で多くの人に支持される事業者であるからこそ、NTTドコモは率先してそのパラダイムを拓いていく役割がある。それを「十字架」と考えるのか「責任」と考えるのか。期待も込めて、私はこの「責任」に正面から対峙してほしいと願っているが、いずれにせよNTTドコモにとって、iPhoneはその判断を分ける、踏み絵なのかもしれない。


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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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