うつと休職も経験する

 現実生活で振り返ると、Xジェンダーであることよりも、ADHDや人の顔が見分けられないことによる大変さのほうが、人生に与えるマイナスの度合いは大きいです(特に、私の職業は男女で待遇が変わることはあまりないので余計にそうだと思いますが)。

 ・人の顔が見分けられないため集団生活になじみにくい
 ・スケジュール管理で失敗しやすい

 そのため、たびたび私は周囲の人に迷惑をかけてきました。

 こんなミスをする人間がやることを全部受け入れて、一緒に楽しくやっていこう! と思えないのが当たり前ですし、孤立して当然です。

 そんな状況の中でも、なんとか医者になれたものの、仕事でも私生活でも様々なトラブルが起こりました。元々いろいろなことに対応しにくい人間なのに、仕事という新たなタスクが加わったことで、私の対応能力は完全にキャパオーバー。対応しきれなくなり、うつになって休職を経験しました。

発達障害(ADHD)と<br />性の自認がないXジェンダーという<br />2つの生きづらさバク@精神科医
元内科の精神科専門医 中高生時代イジメにあうが親や学校からの理解はなく、行く場所の確保を模索するうちにスクールカウンセラーの存在を知り、カウンセラーの道を志し文系に進学する。しかし「カウンセラーで食っていけるのはごく一部」という現実を知り、一念発起し、医師を目指し理転後、都内某私立大学医学部に入学。奨学金を得ながら、勉学とバイトにいそしみやっとのことで卒業。医師国家試験に合格。当初、内科医を専攻したが、医師研修中に父親が亡くなる喪失体験もあり、さまざまなことに対して自信を失う。医師を続けることを諦めかけるが、先輩の精神科主治医と出会うことで、精神科医として「第二の医師人生」をスタート。 精神科単科病院にてさまざまな分野の精神科領域の治療に従事。アルコール依存症などの依存症患者への治療を通じて「人間の欲望」について示唆を得る。現在は、双極性障害(躁うつ病)や統合失調症、パーソナリティ障害などの患者が多い急性期精神科病棟の勤務医。「よりわかりやすく、誤解のない精神科医療」の啓発を目標に、医療従事者、患者、企業対象の講演等を行う。個人クリニック開業に向け奮闘中。うつ病を経験し、ADHDの医師としてTwitter(@DrYumekuiBaku)でも人気急上昇中。Twitterフォロワー4万人。『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす​生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』が初の著書。