コロナ禍の移動制限で
地元への意識に変化?

 今回の調査は、2021年5月1〜5日というゴールデンウイーク期間中、しかし東京、大阪、京都、兵庫の4都府県では新型コロナウイルスの感染拡大を阻止すべく3度目の緊急事態宣言が発令されたさなかに行われた。移動が制限される中で、だれもが地元での暮らしに思いを馳せるタイミングだった。

 田中章雄・ブランド総合研究所社長は、「47都道府県のポイント数は全体的に上がっている。不要不急の外出を控える中で、基本的に他県の様子を気にすることがなくなった。住んでいる地域の魅力を評価するようになったのは、少なからずコロナ禍の影響がある」と推測している。

 今回のランキングで注目すべき点は、上位に九州・沖縄地方の県が目立っていることである。

 不動の1位である沖縄県は別格だ。人口は増加しており、他県へ移住してもいずれは地元に戻る傾向がある。愛着度が特に高く、幸福度も得られていることから、高い評価が確立されている。3位にランクインした福岡県は定住意欲度が2位、生活満足度と愛着度がいずれも3位と高順位だ。

 4位の熊本県が急上昇したことについて田中社長は、「2016年の熊本地震から5年。震災から復興してきていることは大きい。目に見えて復興するときは純粋に持続度が上がる。これからもずっと居住し続けたいという強い意識の表れと見て取れる」と話す。

下位の秋田県、佐賀県
評価は低いが点数の伸びは大きい

 先述した通り、47都道府県における点数は軒並み上がっており、46位の秋田県(67.5点)、47位の佐賀県(67.3点)も、共に点数は昨年から大きく上昇している。佐賀県は、順位こそ最下位だが、点数は3.8点も増加しており、点数の伸びでいえば、47都道府県中で11位となっている。また、秋田県も順位は昨年から1つしか上昇していないが、点数の伸びは全体で4番目に大きい。

「これまでは、他県との比較という相対的な評価だったものが、外出できない状況下により、純粋に自分たちの生活に注目し、いわば絶対的な評価をするようになった。そしてそれが、住んでいる地域を改めて見直すという行為につながっている」と田中社長は説明する。 

 その地に暮らすことに幸せを感じ、満足感を得ているかは、あくまでも個人的な要素だ。ただし、それが地域全体への「愛着度」や「定住意欲度」につながっているのが事実。住民個人の評価が上がれば、必然的に地域の評価も上がってくるはずである。

(ライター 西嶋治美)

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