村木厚子・厚生労働省元事務次官村木厚子・厚生労働省元事務次官 Photo:JIJI

冤罪被害者となり
注目された村木厚子

「土佐」という校名や男女共学であることから、県立高校と誤解している向きもあるようだ。1920(大正9)年に旧制土佐中学として創立以来、私立だ。48(昭和23)年に新制土佐高校(高知市)に衣替えした時から、男女共学の6年制中高一貫教育をしている。

「働く女性の希望の星」と言われ、名前が知れ渡っている元女性官僚がいる。2013年7月から15年10月1日までの2年間余、厚生労働省の事務次官に就いた村木厚子だ。

 村木は、冤罪事件の被害者として大きなニュースになった。雇用均等・児童家庭局長だった09年に、郵便不正事件を巡って虚偽公文書作成・同行使の容疑で大阪地検特捜部により逮捕され、収監・起訴された。

 逮捕から約5カ月ぶりに身柄が解放され、その後、主任検事の証拠改ざんが明るみに出て、無罪となった。この一件は大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件と呼ばれ、検察の在り方が厳しく問われる事態になった。

 村木は土佐高校から高知大文理学部経済学科に進学、労働省にキャリア官僚として入省した。高知大出身で文系キャリアとして入省したのは、村木しかいなかった。東京大出身者の男性キャリア官僚が多い霞が関の中央官庁の中では、目立つ存在ではなかったが、冤罪被害者となったことで注目され、女性登用を掲げた安倍内閣の下で、厚生労働省の事務次官ポストまで出世した。

 現在は伊藤忠商事の社外取締役などをしている。労働省同期入省だった夫・村木太郎(北海道立札幌南高校卒)との間に2女がいる。