8月27日、世界の金融関係者が注目する経済コンファレンス「ジャクソンホール会議」が開催された。そこで米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、量的緩和策の縮小(テーパリング)を年内に開始する方針をあらためて示した。では、その時期や規模感はどうなるのか。中央銀行ウォッチャーである筆者が、物価の日米比較やパウエル議長を含むFRB幹部の見解を基に読み解く。(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
日本と大きく異なる米国の物価事情
FRBのテーパリングに与える影響は?
米国のインフレの状況を日本と比較しながら見てみよう。両国の2021年7月の消費者物価指数・前年同月比から主なモノ(財)を抜き出してみたものが下の表である。
米国では耐久財(2)の値上がりが激しい。コロナ禍で溜まっていた需要や失業給付金による需要が強く表れているのに、供給制約が原因で品薄状態になっている品目がこの春以降多い。中古車(4)、テレビ(5)、洗濯機(6)、一般家具(9)などが顕著に値上がりしている。テレワーキングで郊外に別宅を購入する動きもそれらを後押ししている。対照的に日本の耐久財はマイナス0.3%と若干のマイナス圏にとどまっている。
また米国では新型コロナウイルスのワクチン接種の進捗とともに結婚式などのパーティーがここ数カ月急増した。それに伴って婦人ドレス(11)や宝石(12)も品薄となって価格が顕著に上昇している。
外食(16)は、米国の場合「限定サービスの外食の料理・スナック」、つまりファストフードを表している。6.6%の上昇だ。人手不足や感染抑制のためのドライブスルー人気が影響し、日本の数値(外食のハンバーガー)よりも大幅に上昇している。
ガソリン(17)、電気料金(18)、都市ガス料金(19)といったエネルギー料金も米国の上昇率は日本よりもはるかに高い。
続いて主なサービス価格を見てみよう。