同じ炎上でも内情はそれぞれ
フジロックに集まりつつある擁護の声

 まず、「GLOBAL ARK 2021」が不織布マスクNGを呼びかけた理由は、「ファッションを楽しむ」「夏で山のキャンプ場、不織布マスクだと息が苦しくなるのではないか」などであった。しかし、感染防止に高い効果を発揮することで知られるマスクにNGを出したということで、批判が相次いだ。主催者はサイトに謝罪文を載せ、開催中は主催者側で用意した不織布マスクを配るなどして感染防止に努めた、とのことである。

 「NAMIMONOGATARI2021」はヒップホップ系の野外フェスで、主催者は開催中に感染拡大防止を促す注意喚起などを行ったようだが、あまり功を奏さなかったようである。ネットで見られる画像や動画では、マスク無着用で酒盛りに興じたり、盛り上がった観客が体をぶつけあったり、出演者が観客に発声を促す様子が伝えられた。当然、大批判を浴び、出演したアーティストにもその矛先が向かい、出演者は出演したことを謝罪したり、「あのイベントはふたを開けてみたらまずかった」などと漏らした。

 同様に炎上しているフジロックだが、こちらはよくよく調べてみるとかなり対策が徹底された中で開催されたように感じられた。フジロックを擁護する記事は炎上後ネットにいくつも出てきたが、それらが伝えるところによると「スタッフが奔走して注意に回り、参加者同士もお互い注意喚起しあいながら、粛々とした中で開催された」と読める。また、これらの記事は、炎上の原因となったテレビなどの報道について、「ごく一部の、『まん延防止がなされていない』と思えるようなシーンが切り取られて報じられている」と憤り気味である。

 こうした記事をどこまで真実と受け止めるかは人それぞれであろうが、主催者側がどれだけの事情を抱えていて、どれだけ努力をしたとしても、「そうはいっても」と物言いがつくのは当然である。まん延防止の正解は1ミリたりとも動かぬことであり、「フェスは開催しないに越したことはない」が正論だからである。

 しかし1ミリも動かないのは動的な動物である人間には不可能に近い話なので、じゃあ何ミリなら動いていいのか、というところの認識を巡って、自粛に関する議論が勃発しているわけである。