本来であれば「やってもやらなくてもいい」という部活動。ゆるい制度であるがゆえに、過熱に歯止めが利かず、教員の長時間労働、過度な練習による子どもたちへの負担増が懸念されているが、内田氏らの調査では異なる実態を示しているという。

「そもそも『部活をするために教員になった』という人は、年齢を問わず一定数いますし、これだけ過熱してきたわけですから、学校では部活はかなり支持されていると思っていました。ところが、驚くべきことに実際は教員の約半分が『部活の顧問をやりたくない』と回答しました。それでも部活の長時間化が止まらない一つの理由は、保護者や同僚からの期待があります。調査では『勝ち負けにこだわらない』と答える一方で、別の項目では『部活動の成績を向上させたい』と答える教員が全体の42%に及びました。また保護者らの期待を感じる教員ほど『成績を向上させたい』と答える傾向にありました」

 保護者からの期待は、とりわけ土、日曜日の部活の長時間化に影響している。授業のある平日は物理的に練習量を増やせないため、必然的に土日の練習が長時間になるのだ。保護者からの期待に応え、練習し、試合に勝てばさらに期待が高まり、また練習は長時間になる。このようなスパイラルも過熱の一因であるという。

「保護者による期待は部活、学校依存と言い換えることも可能です。夜まで学校が子どもたちの面倒をみてくれる、あるいは子どもがやりたいことを教員が“タダ”で指導してくれる。保護者は、それが当たり前だと思っていますから、自覚しない形で学校に依存しているのです」

「極論、教員は午後5時に退勤するから、子どもは4時には帰ってくださいと言える」(内田氏)はずの学校だが、そのような圧力や期待のもと、平日夜から土日まで子どもを抱え込んでいる側面があるのだ。

大会での成果を優先し
健康リスクをないがしろに

 そもそも、部活動を過熱させることになった転換点の一つは1964年の東京五輪。「メダル獲得のためにスポーツ強化が叫ばれ、部活の大会などでも様々な規制が緩んでいった」(内田氏)という。

 五輪と部活は密接な関係があるが、今回の東京五輪が部活に与えた影響について、内田氏は次のように語る。