受験シーズンで学生がテレビや新聞の紙面に載ることが増え、入学シーズンも直前。ただコロナ禍であっても膝上丈のスカートをはく生徒が目立ち、体温調節や衛生面からみて問題がある制服でなくともいいのではという声もあがる。昨今は理不尽な校則が注目されているが、暑さ、寒さ対策としても制服の有無は真っ先に見直されてもいいはず。そんな制服をやめられない理由や問題点を『ブラック校則』(東洋館出版社)などの著者であり教育社会学者の内田良氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)
「学校が乱れる」という
大義の崩壊
長ラン、ボンタン、ルーズソックスなど時代ごとに若者のスタイルとして話題になってきた制服。詰め襟タイプの学ランやブレザー型、セーラー服など、その種類も多様になっているが、制服の歴史は日本の近代化とともにある。
「制服は明治から徐々に導入され始め、時代とともに生徒を管理する象徴となってきました。学生に制服を着せるのは世界中で見られ、日本独自の文化ではありませんが、頭髪や靴下の色、靴まで、頭のてっぺんから足の先まで指定されているのは、世界的に特殊だと思います」(内田氏)
髪を染めたりパーマをかけたりしていないかを見極めるために、都立高が「地毛証明書」を入学時に提出させていることが明らかになったのが2017年。これ以降、理不尽な校則に対する批判の声が高まっており、制服もその俎上(そじょう)に上ってきた。
校則改革に尽力する内田氏も制服の必要性に疑問を投げかける。