職場のコミュニケーションの
アンコンシャス・バイアスに注意する

「ホウ・レン・ソウは部下からするものだ」というアンコンシャス・バイアスには注意が必要です。オフィス勤務では上司がすぐそばにいるため、部下からの報告・連絡・相談もしやすい状況にあります。ところが、テレワーク勤務ではリアルタイムでの報告・連絡・相談が難しく、どうしてもタイムラグが発生しやすくなります。

 もしかしたら、報告・連絡・相談の遅れから業務上のトラブルが発生し、上司が部下に対して「何をやっていたんだ!」と叱責する場面も増えるかもしれません。そして部下にも、「上司は忙しくても部下への返信はすぐにするものだ。返信がないのでこちらから急いで連絡しなくても良いだろう」とか、「上司は部下の状況を気に掛けるものだ。声を掛けられないから気にされていないんだ」などといったアンコンシャス・バイアスが潜んでいることも考えられます。

 上司はそんな状況を前もって理解し、自分から積極的に部下に対して報告・連絡・相談を働き掛けていくことが重要です。「オンライン会議などでは冒頭に自らの業務状況を報告して、部下からの報告を促す」「自分が取得した重要な情報をできるだけ早くメールやチャットで部下に連絡する」「自分が相談を受けやすい時間帯を部下に提示しておく」など、できるだけオフィス勤務に近い「報告・連絡・相談がしやすい職場環境」をつくるよう努めましょう。

部下の健康管理に対する
アンコンシャス・バイアスに注意する

「自分の健康は自分で守るものだ」というアンコンシャス・バイアスにも注意が必要です。健康を崩す原因が個人に起因する不摂生(飲み過ぎや食べ過ぎなど)や運動不足などと考え、「部下の健康は本人の責任」という偏った物の見方をする上司は自分のアンコンシャス・バイアスを意識することが必要です。

 現代の企業では、「従業員の健康管理を経営的な視点で考えて、従業員への健康投資を行うことが従業員の活力向上をもたらし、結果的に業績向上につながる」という「健康経営」という考え方が必須となっています。これからの時代には、「企業の業績アップのために、上司がいかに部下の健康管理を行っていくか」という視点で部下のマネジメントを進めていくことが重要なようです。

 なぜ本人が不摂生するに至ったのか、その原因を探ると職場環境や人間関係にあった、といったケースも多いのです。仕事による過度なストレスによって飲み過ぎや食べ過ぎ、あるいは食欲不振を引き起こしている可能性もあります。また、長時間労働で疲れてしまい、運動をする気力が起きないといったこともあるでしょう。

 特に、新入社員や中途採用の部下、および異動直後の部下はテレワーク勤務の実施に当たって健康管理やコミュニケーションの円滑化に特段の配慮をする必要があります。