コロナの感染拡大、経済活動自粛による困窮、他人とコミュニケーションできないことからくる孤独感や閉塞感、SNSによる誹謗中傷やバッシングなど、私たちは、いま多くの生きづらさを感じさせる事柄に取り囲まれています。そんな中にあって、毎日を心安らかに、できるだけ快適に生きていくためには、どうすればいいのでしょうか? 発達障害(ADHD)、うつ病など、生きづらさを抱えながらも精神科医として活躍するバク先生は、ツイッターでのつぶやきが共感・絶賛され、今、人気急上昇中。そんなバク先生の初の著書『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』(ダイヤモンド社)が発売されました。同書の中には、生きづらさを解消するための実践的なヒントが詰め込まれています。本連載では、同書の発刊を記念してそのエッセンスをお届けします。心がスーッと軽くなる珠玉のアドバイスにお付き合いください。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ。
人は自分に近い人に「羨ましい!」と嫉妬する
人が「自分らしさ」に憧れるのは、「自分らしく生きているように見える人」への嫉妬から生まれている部分もあります。
そもそも、どうしてSNSでの楽しそうな投稿や、「うまくいった」とか「幸せだ」という情報に嫉妬する人がいるのでしょう。
理由の一つに「うまくいっている相手」と自分の立場に、そこまで大きな差がなさそうに思えることがあげられます。
人は自分に近い人に「羨ましい!」と嫉妬するのですが(あまりにも身分や立場が違うことがわかる相手には嫉妬ではなく憧れるのみです)、SNSが発達した現代では、他人と自分の垣根が異常に低くなってしまっている傾向があります。
実際は、相手が自分と同じ立場である(年齢、性別、会社員、学生、夫婦の片方、独身、恋人がいる、恋人がいない等のカテゴリが似ている)とSNSの自己紹介に書いているだけなので、本当に同じ立場かも不明なのですが、割とそこは素直に皆信じます。
自分と類似点が多ければ多いほど、その人が羨ましく思えます。
もっと突っ込んだ言い方をすれば「同じような立場だけど、内心自分のほうが優れている」と思い込んでいた相手がうまくいっているときほど、人は猛烈に嫉妬します。
たとえば、自分と同じようなプロフィールの人が、ごく普通のことをツイートしてバズっているのを目にすると、「自分だって同じようなツイートしたのに、自分はバズらなかった。何で!?」と思ってしまうのは、普通に理解ができる感情です。
バズるということは多くの人の目に触れることで、ある種の承認欲求を大きく満たしてくれます。
「いいね!」やRT(リツイート)を多くもらえばもらうほど、自分の意見を肯定されたような錯覚を得ますし、バズったツイートは、最近ではいろいろなネット記事にまとめられるため、一見「有名人」になったように錯覚しやすいです。