私たちの生活には、いろいろなところで神様の存在を感じられることがあります。身近なところでは、「初詣」。受験生なら「合格祈願」。ビジネスパーソンなら「商売繁盛」。名だたる経営者も、日本の歴史をつくった戦国大名や歴代天皇も、神様を信仰し、力を借りて成功を収めてきました。漫画やゲームのキャラクター名でつかわれていることもあります。もしかしたら、ヒットの要因は、神様のご利益かもしれませんね。
日本には、八百万(やおよろず)の神様がいると言われています。膨大な神様の中から100項目にわたって紹介する新刊『最強の神様100』には、古代から現代まで、めちゃくちゃ力のある神様が登場します。最強クラスの神様なので、ご利益も多種多様。
今回、紹介する吉田松陰は、「学問の神様」としても知られています。神様としては若手ですがやりたいことを見つけるのもサポートしてくれます。

「将来に展望が持てないな~」と感じている人にオススメの神様Photo: Adobe Stock

近代日本の指導者を育成した「松下村塾」の先生

「将来に展望が持てないな~」と感じている人にオススメの神様吉田松陰
イラスト/朝倉千夏

「諸君、狂いたまえ」と説いた吉田松陰は幕末最も人々に影響を与えた思想家です。外国の軍艦に2度乗り込もうとして捕まり、投獄後、生家の杉家で謹慎処分になります(吉田家には養子入り)。謹慎処分中、私塾「松下村塾」を開き、わずか2年で、著名な門下生が多数生まれました。

 吉田松蔭は無謀にも思えるテロ行為を計画して処刑されますが、門下生は伊藤博文と山縣有朋の2名が総理大臣になり、天皇に進言する「元老」として、死ぬまで国政に強い影響力を持ち続けました。他にも、大臣や将軍多数、日本大学や獨協大学など大学を設立する者、高杉晋作のような人気者など多士済々です。

 明治になって吉田松陰を祭る神社も現れます。東京都世田谷区の松陰神社は、高杉晋作らが長州ゆかりの世田谷・若林村に松蔭を埋葬し、その後、その地に伊藤博文、山縣有朋らで創建しました。

 神様としての吉田松蔭のご利益は「成し遂げる」ことです。学問も政治も、熱狂的に取り組んだ吉田松陰ですが、具体的な成果は何もあげることなく、処刑されました。だからこそ、「大きな成果を出すこと」「志を成し遂げること」がご利益になるわけですね。

 成し遂げることは、政治や社会的なことだけではありません。それよりも受験生や就活生の合格祈願などで人気です。9歳で長州藩校の師範になるほど英才だった松蔭は「学問の神様」としても親しまれるようになりました。

 最近の人すぎて神様とは思いにくい方も多いでしょう。「だって人間でしょ!」と。確かに神様としては若手です。ただ、その分、身近な頼れる先輩みたいなもので、やりたいことがわからない、具体的な目標や成し遂げたいことなんてない、そんな自分探し中の人が、やりたいことを見つけるのもサポートしてくれます。多くの若者の心に火をつけるのは、生きているときから松蔭先生の得意技ですね。

【主なご利益】学業成就、仕事開運、受験合格

【こんな人にオススメ!】
やりたいことが見つからない人。将来に展望が持てていない人

*本原稿は、八木龍平著『最強の神様100』からの抜粋です。