私たちの生活には、いろいろなところで神様の存在を感じられることがあります。身近なところでは、「初詣」。受験生なら「合格祈願」。ビジネスパーソンなら「商売繁盛」。名だたる経営者も、日本の歴史をつくった戦国大名や歴代天皇も、神様を信仰し、力を借りて成功を収めてきました。漫画やゲームのキャラクター名でつかわれていることもあります。もしかしたら、ヒットの要因は、神様のご利益かもしれませんね。
日本には、八百万(やおよろず)の神様がいると言われています。膨大な神様の中から100項目にわたって紹介する新刊『最強の神様100』には、古代から現代まで、めちゃくちゃ力のある神様が登場します。最強クラスの神様なので、ご利益も多種多様。
今回、紹介する東照大権現は、もしも徳川家康が神になったら……のお姿です。死後、なお影響力を持っているのも計算されているのですから、驚きを隠せません。徳川家康は本書で多く登場するほど、神様を信仰していた戦国大名であり、天下人です。徳川家康がどう信仰していたかを知るだけでも、歴史の空白部分が見えてきそうです。

もしも、徳川家康が神様になったら……Photo: Adobe Stock

呪術で人間から究極神になった天下人

もしも、徳川家康が神様になったら……東照大権現
イラスト/朝倉千夏

 豊臣秀吉に続き、自ら望んで神になった天下人が徳川家康です。ブレーンに天海僧正(てんかいそうじょう)を得て、死後も偉大なる神として世界に君臨する仕掛けを徹底的に実行しました。

 徳川家康の遺命は2つあり、ひとつは晩年を過ごした久能山(くのうざん)に遺体を埋葬すること。もうひとつが一周忌を過ぎたら日光に神社を建て、自身を神として祭ることでした。

 朝廷は東照大権現(とうしょうだいごんげん)なる神号を与え、静岡市の久能山東照宮と栃木県日光市の日光東照宮ができます。一周忌には、遺体(神体)を久能山から日光に移す遷座祭(せんざさい)が行われました。

 東照大権現のご利益は、アメノミナカヌシ+コノハナサクヤヒメといったところ。「才能開花」「多くの人をまとめる」「ちょっとやそっとじゃ動揺しなくなる」「進むべき方向性を知る」などです。

 久能山と日光の2ヵ所を徳川家康が選んだのは偶然ではありません。2ヵ所を直線で結ぶと、直線上にコノハナサクヤヒメの富士山があります。聖地である両東照宮を結んだ光の通り道(レイライン)上に富士山があることで、東照大権現は富士山のパワーを活用できるわけです。そして、江戸の真北は日光東照宮です。

 つまり、日光東照宮は、江戸の真北にある北極星で、北極星は日本神道のアメノミナカヌシです。東照大権現は江戸のアメノミナカヌシになるわけで、だからご利益も、アメノミナカヌシ+コノハナサクヤヒメなのです。

 もちろん徳川歴代将軍をはじめ、多くの武士の信仰を集めました。東照大権現の強力なパワーは、江戸幕府が260年以上続いたこと、大都市・東京の誕生で証明されています。

 家康は、朝廷から神の位をもらうだけでは満足せず、強力な神様になれるよう巧みにレイラインを組み合わせました。死後のことをそこまで完璧にやり遂げるのは、驚きですね。東照大権現は、物事を粘り強く完璧に遂行することをサポートしてくれるでしょう。

【主なご利益】心願成就、心身健全、学業成就

【こんな人にオススメ!】
粘り強さが欲しい人。計画性をつけたい人

*本原稿は、八木龍平著『最強の神様100』からの抜粋です。