志望者増が見込まれる学校の特徴

 図1のように、20年実施の4月模試はコロナ禍の影響で大きく減少している。一方で、11月模試と東京・神奈川初日である2月1日午前入試の受験者数とはほぼ同一の動きをしており、この段階で22年入試の受験生の動向がほぼ確定的に見えてくる。7月模試からは、2月1日午前受験生が2000人ほど増える可能性がうかがえる。

 22年入試を見る上で、念頭に置いておきたい注目点を5つ、以下に挙げておきたい。偏差値については、四谷大塚の合不合結果80偏差値を基準に見ていきたい。偏差値65以上をAランクとし、以下5刻みでB~Fランク、30台をGランクとし、偏差値表記のない入試(学校)をHランクとする。

 まず、学校の難度別に見ると、22年入試で志願者が増えるのは偏差値50未満のE~Hランクの学校となりそうだ。21年入試でも偏差値50を境にして、それより上の層は減少し、下の層は増加するという傾向が見られた。それはなぜか。

 7月模試の受験者動向から、21年比でABランクは前年並み、CDランクは1割弱、EFランクは2割、GHランクは4割、それぞれ増加するものと予想されるからである。

 難関・上位校の受験には、主として大手塾での3年間の学習の積み重ねが求められる。Cランク以上には偏差値55の「壁」があるからだ。その点、今回増加している受験生は地元中小塾などで1~2年学んでいる層が中心とみられ、その壁を乗り越えることは容易ではない。結果として、Eランク以下の受験が中心となる。Fランクになると、一般的な2科4科入試以外に1科入試や適性検査型入試なども加わり、より受験しやすくなる点も挙げられるだろう。

 二つ目として、E~Hランクには圧倒的に共学校が多い。実際には元女子校という共学校も少なからずあるのだが、これに二極化の傾向がある中位以下の女子校も一部加わる。男子校はほとんどない。これらの学校は、22年入試で“特需”を謳歌(おうか)することになりそうだ。

 概数ではあるが、リーマンショック後、共学校は30%近く受験者数を増やし、男子校は8%ほど増加、一方で女子校は共学化もあって15%ほど減少している。こうした状況も22年入試には反映されるわけだ。

 三つ目に、中位以下のどの学校が人気化するかは現段階では見えづらい点が挙げられる。4月や7月の段階では、まだ夢や希望を持って、自分が行ってみたい学校の入試を選んで志望校として書く傾向がある。つまり、本当にそこを受けるだけの実力があるかは別の問題となる。GHランクの学校がこの段階で浮上することはまれである。

 大学付属校は引き続き人気がある。入試ごとに見ていくと、有名私立大学に内部進学するような付属校はすでに5倍を超えるような高倍率であっても志望者が増えている。もっともそうした学校が偏差値50を下回ることはないのだが。

 夏休みを経て、9月から本命校と併願校のシビアな絞り込みが進む。11月模試あたりで、ほぼ実際の受験動向と同様の志望校の姿が浮かび上がってくることになる。