21年入試と22年入試の相違点

 四つ目に、エリアごとの増加基調に温度差が見られる点が挙げられる。東京でいえば、多摩地区での総受験者数の伸びが顕著である。区部と比べて、中学受験率はだいぶ落ち、むしろ都立中高一貫校の受検が盛んなエリアである。公立一貫校は実質倍率が年々低下しているとはいえ、21年入試でも5倍程度の激戦だった。公立一貫校に受からず地元の公立中学に進んでいた層が、22年入試では私立一貫校にシフトする兆しがうかがえる。また、23区でも湾岸タワマン地帯を含む下町エリアにある学校の志願者が増加する傾向にあることも付記しておきたい。

 五つ目に、21年入試で人気が上がった学校(入試)は、その勢いが22年にも続く傾向がある点が挙げられよう。“勝ち馬”に乗る、というわけではないのだろうが、人気の学校にはそれなりの理由がある。ただ、実倍率が3倍を超えるようになると、合格する実感が湧きづらいという受験生の気持ちもある。倍率を目の前にして、調整が進むのは毎年見られる現象である。

 四模試では志望校(入試)を複数選んで記入する。その総数の増減を見ることで、22年入試の学校(入試)別の動向も見えてくる。この点については、次回以降、男子と女子の受験生に分けて具体的に触れていきたい。

 これまでの連載で、21年入試の出願者数(志願者数)ランキングを地域別(東京神奈川埼玉・千葉)に解説してきた。もう一度見直していただくと、どういう学校に受験生が集まるかのヒントをつかむことができる。秋の文化祭シーズンだが、今年も一般公開はしない学校が多い。特に女子校志望者にとっては、先輩や先生に直接触れることができる貴重な機会を失うデメリットは大きい。偏差値は受験の大きな指標ではあるが、それだけでは分からないことも多々ある。学校説明会などを通して、この秋にできるだけその学校の文化を実感していただければと思う。