調子よく仕事が進む日があれば、まるでダメな日もある。日々のパフォーマンスの浮き沈みを、気の持ちようや根性の問題だと片付けてしまっている人は多いのではないだろうか。しかし、米国内科専門医・米国肥満医学専門医の有好信博氏は、体力を理解し、戦略的に配分することでパフォーマンスを安定させることができると説く。本記事では、安定したパフォーマンスを出す方法について紹介する。(構成/小川晶子)
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毎日安定したパフォーマンスを出すのは難しい
長期のプロジェクトに取り組むとき、毎日安定したパフォーマンスを出せることを想定してスケジュールを組んでいる。
たとえば本1冊分の原稿を書くため私は2か月間の執筆期間をとるが、毎日安定して書けることが前提だ。それ以外に取材や編集作業なども含めると、本の制作は1冊あたり半年はかかる長期プロジェクトである。
「毎日安定して書く」というのは、実は簡単ではない。
調子よく書ける日があると思えば、まるでダメな日もある。ダメな日が続くと絶望的になる。「もう終わりだ。私はこの仕事に向いていないんだ」と逃亡を夢想することすらあるのだ。しかし、いつのまにか復活して「まだまだいける!だって、私はすごいんだからな!」と思う日もあったりする。
戦略的に体力を配分する
調子のよい日と悪い日の差が激しいのは、あまり良くない。できれば差を縮めて日々のパフォーマンスを安定させたい。
そのため、「早起きをして日記を書くことからスタートする」「毎日30分の運動をする」などの習慣は作ってきた。規則正しい生活をするのは基本だし、モヤモヤを書き出すことや運動がメンタルを安定させるのにいいらしいことはよく聞く。
それでも、「なぜか今日、全然ダメだな……」という日があるのだ。やはり体力がないからだろう。なんとなくそう思っていた。
そんなときに出合ったのが『体力がすべて』という本だ。
医学的なエビデンスに基づき、体力を理解し、戦略的に配分することでパフォーマンスを安定させるための考え方と実践方法が書かれている。まさに知りたいことであった。
本書にはこうある。
――『体力がすべて』p.4
調子のいい日、悪い日は誰にでもある。それを、気の持ちようだと片付けるのではなく、安定したパフォーマンスを出せるようにコントロールするのだという。
今日は力が出ない理由
本書では、体力を3つの構造に分けて示している。長期的な習慣によってはぐくまれる土台である「最大体力」、その時点で実際に引き出せる力の上限となる「実効体力」、実効体力からその日に受けた負荷を差し引いた「余力」の3つだ。
日によって力が出せる、出せないの波があるのは、「実効体力」と「余力」の影響が大きい。 たとえば、睡眠不足なら「実効体力」が下がり、不意の割り込み作業や気がかりなこと、身体の痛みなどのストレスがあれば「余力」が下がっていく。
こうやって整理すると、「なぜか今日は全然ダメ」の理由が見えてきそうだ。
余力スコアをつけてみよう
パフォーマンスの波の原因を見つけるのに役立つのが、「余力スコア」だ。
本書では、体力の配分を戦略的に考えることができるよう、余力スコアを0~10の主観スケールで記録することをすすめている。2~4週間の記録を振り返って、とくにスコアが低かった日を抜き出せば、その原因がわかるので対策ができるという。
やり方は、一日の終わりに「今日の終わりの時点で、あとどれくらいいつもの仕事や家事を続けられそうだろうか」と自分に問いかけ、評価を記録する。
大まかな目安は次のとおり。
3:軽作業なら可能だが、負担感がある
5:軽作業なら無理なくこなせる
7:通常の用事を問題なくこなせる
10:終業後でも活動する余裕が残っている
――『体力がすべて』p.248
私は、食事・運動・睡眠時間、簡単な行動記録と合わせて余力スコアをしばらくつけてみた。すると、パフォーマンスが下がる原因がかなりわかってきた。
・前日の働きすぎ=実効体力が下がっていた
・睡眠不足=実効体力が下がっていた
・前日の飲みすぎ=実効体力が下がっていた
・割り込み作業が発生するなど注意力が散漫になった=余力が削られた
・気がかりなことについて対応を考えていた=余力が削られた
・長時間座りっぱなし=余力が削られた
こういったことがいくつか重なった場合、余力がほとんどゼロになってしまうのである。
余力がなくなる原因がわかっていれば、なるべくそれを取り除くか、「今日はこういう理由だから仕方ない」と納得することができる。それは精神衛生上も良い。
パフォーマンスの波が気になる人はぜひ試してみてほしい。
(本記事は『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』に関する特別投稿です)






