私たちの生活には、いろいろなところで神様の存在を感じられることがあります。身近なところでは、「初詣」。受験生なら「合格祈願」。ビジネスパーソンなら「商売繁盛」。名だたる経営者も、日本の歴史をつくった戦国大名や歴代天皇も、神様を信仰し、力を借りて成功を収めてきました。漫画やゲームのキャラクター名でつかわれていることもあります。もしかしたら、ヒットの要因は、神様のご利益かもしれませんね。
日本には、八百万(やおよろず)の神様がいると言われています。膨大な神様の中から100項目にわたって紹介した『最強の神様100』には、古代から現代まで、めちゃくちゃ力のある神様が登場します。最強クラスの神様なので、ご利益も多種多様。
今回は、「社長はなぜ神様が好きなのか」についての書き下ろしになります。(初出:2021年9月26日)

社長は、なぜ神社によく参拝するのか?【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

社長と神様は似ている

 中小企業に行くと、社長室に神棚が結構あります。

 もちろん神社によく行く社長さんも多く、私の知っている社長さんは、自作で祝詞(のりと:神様に対して唱える言葉)をつくる方もいました。

 経営者は、よく神社に参拝されるんですね。友人の元銀行員も、「経営者ってよく神社に行くなあ~。神社にくわしいなあ~。なんでだろう?」と思っていたとか。私自身、経営者の集まりに出るようになってから、神社や神様に興味ある経営者が多いことに気づきました。

「神様好きの社長が多い!」

 経営者だけではありません。政治家や戦国武将、歴史上の偉人たちは、よく神社に参拝し、神様を信仰しています。

・社長は、なぜ神様が好きなのか?
・社長は、なぜよく神社に参拝するのか?

 社長と神様、似ているからです。

 社長は、一個人を超えて、集団のシンボルですよね。社員のシンボルで、人気商売の方ならお客様やファンのシンボルです。

 社員をかかえ、お客様をかかえ、協力先をかかえ――。

 社長の意識状態は、個人の意識を超えて、集団の意識になります。主語「私」が個人でなく、私個人を含む集団や社会になる。この状態を「集合意識」と言います。

 社長は「社員とお客様と協力先の集合意識」ですね。

 神様もまた神社という「社」の社長です。神社は共同体の発展を願う場所で、神様は共同体メンバーのシンボル。神様も社長も、集合意識であり、集団のシンボルであることは共通しています。

 つまり、「神様は社長」なのです。地域や一族の「見えない社長」です。それも相当に経験豊富で、最古の神様だと、2000年以上も「神様=社長」をやっています。

 日本の神様は、いわば社長のメタファー(隠喩)であり大先輩。実際、歴史上の優れたリーダーたちも神様になっています。神様に手を合わせ、その存在を感じることで、社長としてのあり方、リーダーとしてのあり方を、言葉にならない感覚ですが、伝授されることでしょう。

*本原稿は、『最強の神様100』の著者・八木龍平氏による書き下ろしです。