武田薬品工業Photo:123RF

コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は中外製薬や武田薬品工業など「製薬」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

製薬4社は全て四半期増収
中外、武田は2割弱のプラス

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製薬業界4社。対象期間は21年4~6月の直近四半期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・中外製薬
 増収率:17.3%(四半期の売上収益2214億円)
・武田薬品工業
 増収率:18.4%(四半期の売上収益9496億円)
・第一三共
 増収率:11.4%(四半期の売上収益2641億円)
・アステラス製薬
 増収率:6.2%(四半期の売上収益3261億円)

 製薬4社の四半期増収率(前年同期比)は、全てプラスとなった。中でも中外製薬、武田薬品工業は2割弱の高い増収率を記録している。

 この2社が大幅な増収となった要因とは何だったのか。武田薬品工業については、四半期増収率を押し上げた特殊な要因がある。それは何か。次ページ以降で詳しく解説する。