SBIvsネオファーマ! 新型コロナ増殖抑制効果「サプリ」を巡る騒動の深層Photo:Diamond

 かつてソフトバンクの孫正義氏の右腕とも呼ばれた北尾吉孝氏が率いる「SBIグループ」と、アラブ首長国連邦(UAE)の企業を大株主に持つ「ネオファーマジャパン」がサプリメントの工場をめぐって奪い合いを演じている。そのサプリメントとは「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」という天然アミノ酸。かいわれ大根や緑茶、赤ワインなどに含まれているアミノ酸で、検査薬や育毛剤に利用されるほか、がん治療薬にも期待されている物質だ。

 北尾氏がこの5-ALAに着目し、「SBIアラプロモ(現SBIファーマ)」を設立し、医薬事業に進出。サプリメントとして発売していた。

 この5-ALAが急に注目されたのは20年10月。長崎大学が「新型コロナウイルスの増殖抑制効果が認められたことから臨床研究を始める」と発表したことだった。にわかにSBIグループが原薬を製造しているネオファーマに「提供していた資金の返済が滞っている」と静岡県にある袋井工場に仮差し押さえ処分をかけ、さらに「工場を担保にした債権の譲渡を受けた」と工場の明け渡しを迫り、対するネオファーマ側は「北尾氏の乗っ取りだ」と反発。いまや、SBIグループとネオファーマとの間で5-ALAをつくる袋井工場の攻防戦に発展している……。