新薬を主力製品とするエーザイと中外製薬の決算書の特徴を読み解こう。昨年、国内医薬品メーカーで株式時価総額トップに躍り出た中外製薬。高い営業利益率を実現しているが、その理由とは何か。詳しく見ていこう。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)
新薬を主体とした医薬品メーカーの
決算書に見られる特徴とは?
今回は、新薬を主力製品とする製薬メーカーである、エーザイと中外製薬の決算書を見ていこう。大型新薬の開発が生命線の医薬品メーカーにあっては、新薬開発が競争力の鍵となる。
国内医薬品メーカーの株式時価総額では武田薬品工業がトップの座にあったが、2020年2月に中外製薬が逆転しトップに立った。また、中外製薬は新型コロナウィルス向けの治療薬として今年7月に厚生労働省から特例承認された「抗体カクテル療法」の販売を行うことでも注目を集めている。
ここからは、医薬品メーカーの決算書にはどのような特徴があるのか、そして中外製薬が国内製薬企業の中で時価総額トップへと躍り出た理由は何なのかを探っていくことにしよう。