業界最大手の武田薬品の株価が低迷している。事の発端は18年3月28日に報道されたシャイアーの買収まで遡る。武田薬品は同年5月8日のリリース「武田薬品によるシャイアー社買収の申出について」のなかで、シャイアー買収の意義について、(1)日本に本社を置く、企業価値の向上を追求する研究開発型グローバルバイオ医薬品企業のリーディングカンパニーが誕生、(2)世界中に革新的な医薬品や治療法をお届けする体制がさらに強化、(3)ビジョン2025達成に向けた戦略的な変革が加速――と述べていた。
言うまでもなくこうした公式発表の裏にはさまざまな狙いや思惑があったはずである。残念ながら買収金額6兆円超の日本企業最大の企業買収に踏み切ったクリフトフ・ウェバー社長の経営戦略は株式市場から敬遠される結果となったと言えよう。シャイアー買収発表前に6000円台にあった株価は、現在4000円に届かない水準で停滞している。
株価を経営の通信簿と考えれば、武田薬品の株価は落第点である。もともと日本の機関投資家は業種を問わず大型企業買収には慎重な姿勢をとることが多く、武田薬品のシャイアー買収に対しては「なぜシャイアー?」という疑義を感じたようだ。