10人に1人といわれる左利き。「頭がよさそう」「器用」「絵が上手」……。左利きには、なぜかいろんなイメージがつきまといます。なぜそう言われるのか、実際はどうなのか、これまで明確な答えはありませんでした。『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社刊)では、数多くの脳を診断した世界で最初の脳内科医で、自身も左利きの加藤俊徳氏が、脳科学の視点からその才能のすべてを解き明かします。左利きにとっては、これまで知らなかった自分を知る1冊に、右利きにとっては身近な左利きのトリセツに。本記事では本書より一部を特別に公開します。

脳内科医が断言!「左利きと右利きの脳」決定的な差Photo: Adobe Stock

左利きの「あたりまえ」が「すごい脳」をつくる

 右利きの人は、右手を使うのがあたりまえの世界に生きているため「利き手」に気を配る習慣がありません。でも左利きは違います。

 私の経験からお話しすると、子どもの頃から、字を書いたりハサミで図形を切り取ったりなど何かをするたびに「みんなは右手でああやっているけど、左手ではどうすればいいか」と常に利き手と反対の手も同時に意識してきました。左利きであることで、利き手を動かすために、常に利き手と反対の手を気にかけざるを得なかったのです。そして、私はのちに脳科学者になってから、「両手を意識する」ことが、効率的に脳を活性化していたと気づきました。

脳内科医が断言!「左利きと右利きの脳」決定的な差イラスト/毛利みき

「手」の動きに気を配るのは、筋トレをするときに「使っている筋肉」を意識するのと似ています。筋トレをするときは、使っている部位を「今、ここを鍛えている」と意識すると、脳と筋肉を連動させて効果を最大限に高めることができます。同じように、手を動かすとき「右手を使っている」「左手を使っている」と注意を向けると、手とつながっている運動系だけでなく、すぐそばにある感覚系(本書P32参照)などのさまざまな脳番地を刺激することができるのです。

 左利きの場合、おのずと利き手側を動かすために、右利きの動きを参考にするので、結果的に両手を意識する思考習慣が身につきやすいのです。

 また、私たちの両手は、全身の表面積に対してわずか10分の1ほどの大きさしかありませんが、運動系、感覚系などを含めた大脳の領域の3分の1が、両手と指をコントロールするために使われています。つまり、それほど多くの脳の部位が、手と指先に指令を出すために働いているのです。

 さらに、脳は使っている部位からも刺激を受けて変化します。使っている手に気を配りながら、手や指をよく使うことで脳はその情報をキャッチして、どんどん活性化します。こうしたことから、両手を常に気にかけている左利きは、右利きよりも知らず知らずのうちに脳を活性化させていると言えるのです。

(本原稿は『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』から抜粋、編集したものです。本書では、脳科学的にみた左利きのすごい才能を多数ご紹介しています)

[著者]加藤俊徳(かとう・としのり)
左利きの脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニングの提唱者。
14歳のときに「脳を鍛える方法」を求めて医学部への進学を決意。1991年、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD(注意欠陥多動性障害)、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。帰国後は、独自開発した加藤式MRI脳画像診断法を用いて、子どもから超高齢者まで1万人以上を診断、治療を行う。「脳番地」「脳習慣」「脳貯金」など多数の造語を生み出す。InterFM 897「脳活性ラジオ Dr.加藤 脳の学校」のパーソナリティーを務め、著書には、『脳の強化書』(あさ出版)、『部屋も頭もスッキリする!片づけ脳』(自由国民社)、『脳とココロのしくみ入門』(朝日新聞出版)、『ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”』(大和出版)、『大人の発達障害』(白秋社)など多数。
・加藤プラチナクリニック公式サイト https://www.nobanchi.com
・脳の学校公式サイト https://www.nonogakko.com