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誰でも職場では多少は身構えるもの。“ありのままの自分”を出せている人は少ない。しかし自分を抑えすぎると、職場のストレスが過剰な負担となり、仕事にも差し障りが生じてくる。その典型例が、承認欲求に駆られて良い人を演じてしまうことによるストレスだ。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

つい「良い人」を演じてしまう心理

 企業研修のなかで承認欲求について話した際に、「自分も承認欲求に振り回されているような気がする」という人たちが相談に来た。

「最近、ものすごく疲れており、職場の人たちとの付き合いが苦痛で仕方がない」という20代の男性に、いったいどんな感じなのか尋ねてみた。話を聞いているうちに分かってきたのは、気まずくなるのが嫌で、つい我慢して良い人を演じてしまうため、職場ではホンネが出せず、ストレスがたまる。そのせいで家に帰ると家族に当たってしまい、家族との関係もギクシャクしてきた。最近は職場も家庭も居心地が悪く、気の休まる場がなくなってつらい、ということだった。

 その男性は、これまで人付き合いに悩むことはなく、自分は誰とでもうまくやっていける方だと思っていただけに、こんなことでつまずくとは思わなかったという。