責任逃れしか考えない上司や同僚への対処法Photo:PIXTA

常に自分の責任になるのではないかと恐れ、責任逃ればかり考えている人がいる。そんな働き方をしていたら、やりがいも達成感も味わえないと思うのだが、なぜか当人にとっては仕事のやりがいや達成感よりも責任の所在の方が気になって仕方がないようなのだ。こういう上司や同僚とどのように付き合っていくべきかを考える。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

部下のチャレンジに「前例がない」と冷ややかな上司

 やたらと前例を気にして、前例がないことにはゴーサインを出さない上司がいるものである。そのような上司の下では、なかなかモチベーションが上がらない。

 ある営業職の男性は、このままルーティンをこなしているだけでは業績悪化にブレーキをかけることができない、何か打開策が必要だと思い、新たな営業の仕方を上司に提案した。自分なりに説得力のあるアイデアだと思ったのに、上司の反応はイマイチだった。

「せっかく知恵を絞ってくれたのはありがたいし、面白いアイデアだけど、こういうやり方をした前例は聞いたことがないからねえ、ちょっと難しいなあ」

 などと消極的なことを言う。

「ちょっと難しい」の根拠が、その手法自体の問題なら仕方ないが、そうではなく前例がないということなのだ。手法自体は面白いというのだから納得いかない。