一部上場企業社長の奥能登移住ダイアリー

 コロナ禍を経て働き方の自由度が増し、PCやネットワークがあれば日本中のどこでも仕事が可能なことが、この1~2年多くの会社で実証されてきた。そんな背景から「地方移住」を視野に入れる人が多くなってきた今、とある「一部上場企業」が2021年6月、本社機能の一部を地方に移転したケースが話題になっている。

 本連載では、東京・日本橋に本社を構える総合薬品商社「アステナホールディングス」代表取締役社長・岩城慶太郎氏自らが語る、自身と本社の移住・移転ダイアリーを追っていく。

~プロローグ~
2021年6月、「奥能登」の珠洲市に
本社の一部を移転しました!

石川県の最北端に位置する珠洲(すず)市。最北端というと東京からはかなり遠くに聞こえるが、羽田空港から奥能登の「のと里山空港」までは飛行機で約1時間、そこからバスで約45分と、意外にアクセスは悪くない。岩城社長に東京からの移転・移住を決意させた数多くの魅力が、総人口約1万3500人の小さな自治体の中に潜んでいた。石川県の最北端に位置する珠洲(すず)市。最北端というと東京からはかなり遠くに聞こえるが、羽田空港から奥能登の「のと里山空港」までは飛行機で約1時間、そこからバスで約45分と、意外にアクセスは悪くない。岩城社長に東京からの移転・移住を決意させた数多くの魅力が、総人口約1万3500人の小さな自治体の中に潜んでいた

 2021年6月1日(火)。この日は、私が代表取締役社長を務める東証一部上場会社「アステナホールディングス株式会社」にとって記念すべき日となりました。株式上場後58年経過しての持株会社体制への移行と社名の変更も確かに大きな変化なのですが、それよりも創業以来107年間一貫して東京都中央区日本橋本町に置いてきた本社機能を、石川県珠洲市という能登半島の最果てにある過疎の自治体に移転したことが、さらに重要な転換だと考えています。