新型コロナウイルスの影響で、都会がいかに「密」な空間であるか痛感させられた。わかってはいたけれど、ソーシャルディスタンスあるいはパーソナルスペースがいかに大切なことか。これを機に、地方移住を考える人がいることは想像に難くない。(フリーライター 武藤弘樹)
都心が持ち得ない魅力
今、再注目される地方移住
新型コロナによって外出自粛が推し進められ、インターネットの偉大さを「わかっていたが、やっぱりすごい」と再認識させられた。仕事や人とのつながりは、ネットを介せばある程度達せられる。今回を機にリモートワークを導入した企業は多く、従来の「通勤は当たり前」とされていた働き方が見直されていくかもしれない。
コロナに関連したライフスタイルの現状や変化については、これまでの連載で散発的に取り上げてきたが、今回触れたいのは住む場所についてである。近年、都市部以外への移住をする人たちが増えてきている傾向があって、筆者の知人の話によると移住先として「鎌倉」「葉山」といった地名が挙げられていた。
筆者も田舎暮らしと称して、東京近郊のとある市に去年引っ越した。ここは、荒れ地と廃屋とひき逃げが多く、お世辞にも裕福とはいえない街並みだ。それにもかかわらず、やけに町内会費が高いこの地に住む身としては、地方移住の候補地として「鎌倉、葉山」といったまばゆい地名が挙げられているのを聞くと、羨望と嫉妬で全身が震える。「こっちの方が“地方”だからこっちの勝ち!」と叫びたくなるのだ。
と、ネガティブに書きはしたが、筆者は今の田舎暮らしを大変気に入っている。地方暮らしの移住先を検討する際に、指針となるのは2つ。好みと、もうひとつ外せないのが財力だ。鎌倉、葉山といえば都心から離れつつも大変人気のある土地で、高いブランド力を備えている。そしてこのブランドが持つ引力は強い。ここに移住できる人はお金持ちであり、筆者もそうであったなら、今頃、鎌倉や葉山に住んでいたかもしれない。