米国最大の仮想通貨取引所が日本上陸、“黒船”コインベースのしたたかな戦略Photo:PIXTA

大幅な価格上昇からビットコインなど暗号資産(仮想通貨)が注目を集めている中、世界最大の取引所が8月、日本に進出した。この意味と影響について、日米の金融機関で取締役を歴任し、『金融のプロが実はやっている最もシンプルで賢い投資の結論』の著者である北村慶氏が解説する。

半年で5倍になったビットコイン
価格上昇の背景とは?

 筆者は、一般の投資家、特に初心者にとっては、新著でも解説したインデックス投信への「長期・分散・積立投資」が基本であるべきと考えています。加えて、筆者自身はその安定したリターンをベースにしつつ、暗号資産(仮想通貨)への投資も行っています。

 具体的には、昨年8月にビットコイン、イーサリアム、リップルに投資し、比較的短期の間に、約5倍のリターンを得ました。

 ここで、筆者が暗号資産への投資を決めた思考プロセスをご説明しましょう。

● 新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済活動が制約される中でも、各国の中央銀行が大量のマネーを供給し続け、主要国の株式市場は堅調に推移するだろう。
● 米国を含む多くの先進国で実質金利はマイナスとなり、GAFAに代表される成長産業の株価は、従来型の企業よりも上昇するだろう。
● それ以上に、価格が上昇するのは金(ゴールド)だろう。

 こうした筆者の読み通り、昨年8月、金は史上最高値を更新しました。マイナス金利の世界では、配当や金利を生まないといわれてきた金投資からも実質的にプラスのリターンを得ている計算になるため、マイナス面が消滅し価格の上昇につながったのです。

 筆者の思考はさらに続きます。

● ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)はいくつかの点で、金(ゴールド)と類似性がある。暗号資産も、金と同様に、配当や金利がなく、希少性、匿名性があり、国家が流通量をコントロールできず、国境を超えて通用する。
● すなわち、暗号資産は、「デジタル・ゴールド」と呼べる特徴を兼ね備えているのではないか。

 こうした思考のプロセスを経て、筆者は昨年8月にビットコイン、イーサリアム、リップルに投資したのです。

 結果、暗号資産価格は、筆者の読みをはるかに超えて暴騰しました。