経営不振が続く半導体大手、ルネサスエレクトロニクスへの官民による支援計画が、実現を目前に足踏みを続けている。
当初は11月16日に発表会見をする予定だったが、予約していた東京・六本木の会見場も急遽キャンセル。11月中の合意が困難な情勢になっている。まとまりつつある支援計画の実現に向けたハードルとして、関係者の間で名指しされているのが親会社のNECだ。
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ルネサスの支援計画は、官民ファンドの産業革新機構が約1400億円を、トヨタ自動車やパナソニック、キヤノンなど8社の企業連合が約100億円を出資し、さらに革新機構が約500億円を追加出資することが骨子だ。
革新機構の関係者によると、ルネサスへの融資金返済の先延ばしなど銀行側との調整はほぼ完了。企業連合も大筋で合意し、ルネサスも支援を受け入れる方針を固めているという。
では、なぜNECがルネサス支援の実現を左右するのか。理由は、NECがルネサスの従業員の受け入れを拒否していることだ。
革新機構は出資の前提条件として、ルネサスに最大5000人の追加の人員削減を要求している。ルネサスは10月に7466人が早期退職するなど経営改革を進めているが、革新機構幹部は「まだ足りない。われわれの出資金はルネサスの今後の成長のための投資やM&Aに使うもので、経営再建の費用ではない」と強調する。
そこで、ルネサスは前提条件をクリアするためNEC、日立製作所、三菱電機の親会社3社に、追加で削減する従業員のうち1000人を受け入れるよう要望。日立や三菱は受け入れを容認する姿勢を示しているが、NECが強く反発しているというのだ。