想定外ではなかった
中国・台湾の申請
米国が離脱して11カ国でスタートした環太平洋経済連携協定(TPP)に英国が加盟を申請したのに続いて、中国、台湾が相次いで加盟を申請した。中国・台湾間の緊張が高まるなかでの両国の申請によって、TPPは日本の外交にとって難しい問題を抱えたことは間違いない。
もっとも、これは想定外の出来事ではない。TPPの協定では、加盟の対象を国または独立の関税地域と規定している。これは台湾が加盟している世界貿易機関(WTO)と同じ扱いだ。TPPは台湾の加盟をもともと想定していた。
一方、TPPから米国が離脱した以上、中国が加盟に関心を示すのは当然だ。実際、習近平主席自らが、TPP加盟に積極的な関心を表明しており、正式な申請は時間の問題だったと言える。
中国と台湾の加盟申請に対して、日本政府のスタンスは、台湾の加盟申請については歓迎、中国についてはTPPの高い自由化度を満たす用意ができているかしっかり見極める、と温度差がある。
もっとも、こうした日本のスタンスが、TPP加盟国のコンセンサスということではなく、中国との関係は国によってさまざまである。それだけに、この問題の扱い方を間違えると、TPP内で加盟国間の分断を引き起こす火種になりかねない。