「中国のTPP加入申請」、習近平氏の本当の狙いとはPhoto:PIXTA

米国なきTPPに
中国が加入申請

 中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加入を正式に申請した。TPPは日本、ベトナム、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、ペルー、メキシコ、米国、カナダの12カ国の間で2016年2月に署名された経済協定である。しかし、米国のトランプ前政権が2017年1月にTPPから離脱し、バイデン政権は現在もTPPへの復帰に難色を示している。

 そのような米国なきTPPの状況のなか、中国の習近平国家主席は去年11月のAPEC首脳会議の際、TPPへの参加を前向きに検討していると述べた。

 しかし、TPPは域内の自由で公正な貿易を掲げ、知的財産権の保護や100%に近い関税撤廃など厳格なルールを定めており、現時点で中国がそれら厳格なルールを順守するかは懐疑的にならざるを得ない。

 また、TPPへの加入には全加盟国の同意が必要であり、中国にとっては相当ハードルが高く、習政権もそれは十分に理解しているはずだ。

 では、なぜ中国はこのタイミングでTPPへの加入を申請してきたのだろうか。その背景には、バイデン政権による多国間中国包囲網を懸念する習政権の思惑がある。