新内閣のネーミングは
闇将軍の名を冠した「3A内閣」か

 岸田氏は4日、待ち構える記者団に「強い思い、強い覚悟をもってこれから臨んでいきたい」と抱負を語るサービス精神を見せた。

 岸田氏が総裁選で再確認する意向を示した、2019年の参議院選挙広島選挙区を巡る党本部から河井案里氏(公職選挙法違反で有罪判決が確定)側への1億5000万円の資金投入について、甘利幹事長が再調査する考えはないと明言した。さらに、6月に政界引退を表明した二之湯智氏を今回の組閣で国家公安委員長に起用する異例人事が批判されてもいる。それでも、「天下人」となった今の岸田首相には、小さな話なのかもしれない。

 そうした雰囲気に飲まれたのか、メディアからも「官房長官に萩生田氏」(9月30日、朝日新聞)、「経産相に山際氏」(10月1日、毎日新聞)などと誤った報道が流れる始末である。

 新内閣のネーミングを付けるメディアの恒例行事に加われば、今回は主導権を確保した安倍晋三、麻生太郎、甘利明の3氏から「3A内閣」といえるだろう。

 高揚感に包まれるまま10月19日告示、同31日投開票の日程で総選挙を実施する意向を固めたと報じられた岸田首相。かつて「闇将軍」として君臨した田中角栄元首相の後押しで政権を握り、その影響力が色濃く反映された中曽根康弘政権は「田中曽根内閣」と揶揄されたが、「3A」が背後に見える岸田内閣の姿とだぶる。

「3A」といえば、米マイナーリーグのカテゴリーの一つを指す言葉でもある。新首相の名を差し置いて「3A内閣」と呼ばざるを得ない状況の中で国民の信と実績を獲得し、岸田氏が主役となり「メジャー」へと昇格することはできるのだろうか。