自営業者の廃業
経営者の自殺が相次ぐ

 韓国遊興飲食業中央会議のチェ・ウォンボン事務総長は「コロナ以降1年6カ月のうち1年4カ月は営業できず、頭を丸め、血書きや約80回にわたる抗議デモを行ったが、政府は微動だにしない」と憤慨している。

 自営業者は収入源により賃貸料を支払えず、人件費も賄えずに生活苦に陥っている。

 新型コロナ対応全国自営業者非常対策委員会によると、この1年6カ月間に自営業者は66兆ウォン(約6兆円)を超える負債を抱え込み、1日平均1000店以上の店舗が廃業し、現在まで合計45万3000店が閉店したという。

 これは冒頭の『イカゲーム』で繰り広げられるデスゲームに参加する債務者たちとも重なる。

 実際、中央日報は『イカゲーム』の主人公について、会社から解雇された後、フライドチキン店や軽食店を開いて失敗し、4億ウォン(約3800万円)の借金を背負うことになったある自営業者がモデルになっているのではないかと述べている。

 韓国随一の繁華街、ソウル市明洞(ミョンドン)中心街でも今や建物には空室が目立っている。建物空室率を全数調査したところ81カ所のビルに入居する255店舗のうち106店舗分が空いており、空室率は41.6%だった。中でも化粧品店は58.6%が廃業した。

銀行融資を受けられない
自営業者の苦境

 韓国銀行によると、本年3月末の自営業者向け貸付残高は831兆8000億ウォン(約78兆4000億円)だという。1年前より18.8%増加している。3月末に借金をしている自営業者は245万6000人だった。そのうち金融会社3社以上から借り入れた多重債務者は126万人で、彼らの負債は500兆ウォン(約47兆850億円)に達するという。

 自営業者の中には「コロナ禍が1年半を過ぎ、自営業者たちはこれ以上融資を受けられず、銀行以外を当たっている」と打ち明ける者もいた。すでに高利の貸金業者にまで手を出した自営業者も多いという。そういうところでは「金利が20%を超える」ものもあるようだ。そして銀行以外からの融資を受けると、信用度がさらに低下し、さらに高利の貸金業者からしか借りられないという悪循環に陥るようである。

 ハンギョレによれば、今年第1四半期の自営業者の銀行融資残高は550兆6000億ウォン(約51兆9000億円)で、前年比16.2%増加した。この間、ノンバンクの融資残高は282兆2000億ウォン(約26兆5800億円)で24.4%増えている。特に貸金業などは21兆9000億ウォン(約2兆650億円)で前年より71.8%増えている。政府集計などに反映されない高利の貸金業者なども増加している。

 韓国経済研究院が自営業者500人にアンケート調査したところ、39.4%が廃業を考えているという。